まだ借りていない。
だから今が、一番冷静に考えられるタイミングだ。
2026年、奨学金の金利は0.2%から2.5%超へ急騰。
「借りたら返す」は知ってる。
でも「利息でいくら増えるか」は知らない。
その答えを、数字で全部見せる。
Before You Sign ― 署名する前に知ってほしいこと
奨学金の予約採用は、高校3年の春〜夏に始まる。多くの人が、進路と同時に「いくら借りるか」を決めることになる。
ここで質問。
「借りる額」と「返す額」が違うこと、知っているだろうか。
JASSOの第二種奨学金(有利子)は、卒業時の金利で利息が決まる。そしていま、その金利がかつてないスピードで上がっている。
| 時期 | 利率(固定方式) |
|---|---|
| 2021年4月 | 0.268% |
| 2025年3月 | 1.641% |
| 2026年1月 | 2.512% |
(出典:JASSO公式)
わずか5年で約9倍。
上限の3%まで、もう0.5%もない。
あなたが4年後に卒業するとき、金利がいくらになっているかは誰にも分からない。
だからこそ、最悪を想定して計算しておくことに意味がある。
The Numbers Don’t Lie ― 利息でいくら増えるか、全部見せる
第二種奨学金を4年間(48ヶ月)借りた場合、金利ごとの返還総額と利息をまとめた。JASSOの公式返還例をベースにしている。
▶ 月3万円(貸与総額144万円)の場合
| 金利 | 返還総額 | うち利息 | 返済期間 |
|---|---|---|---|
| 0.5% | 約149万円 | 約5万円 | 13年 |
| 1% | 約154万円 | 約10万円 | 13年 |
| 2% | 約165万円 | 約21万円 | 13年 |
| 3% | 約176万円 | 約32万円 | 13年 |
▶ 月5万円(貸与総額240万円)の場合
| 金利 | 返還総額 | うち利息 | 返済期間 |
|---|---|---|---|
| 0.5% | 約250万円 | 約10万円 | 15年 |
| 1% | 約260万円 | 約20万円 | 15年 |
| 2% | 約280万円 | 約40万円 | 15年 |
| 3% | 約302万円 | 約62万円 | 15年 |
▶ 月8万円(貸与総額384万円)の場合
| 金利 | 返還総額 | うち利息 | 返済期間 |
|---|---|---|---|
| 0.5% | 約405万円 | 約21万円 | 20年 |
| 1% | 約426万円 | 約42万円 | 20年 |
| 2% | 約470万円 | 約86万円 | 20年 |
| 3% | 約517万円 | 約133万円 | 20年 |
(出典:JASSO返還例データをもとに作成)
月8万円を4年間借りて、金利3%が適用されたら、利息だけで133万円。
新車が買える金額だ。
0.5% vs 2.5% ― 同じ借り方で、こんなに違う
先輩たちが卒業した2021年の金利(0.268%≒約0.5%で試算)と、今の金利水準(約2.5%)で比較するとどうなるか。
| 月額 | 0.5%の利息 | 2.5%の利息 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 月3万円 | 約5万円 | 約27万円 | 約22万円 |
| 月5万円 | 約10万円 | 約51万円 | 約41万円 |
| 月8万円 | 約21万円 | 約109万円 | 約88万円 |
同じ額を、同じ年数借りただけ。卒業した時期が違うだけで、月8万円なら利息が88万円も増える。
この数字を見た上で、「いくら借りるか」を決めてほしい。
The Choices You Have ― 高校生のうちにできる3つの選択
❶ 第一種(無利子)を狙うために、成績を上げる
第一種奨学金は利息ゼロ。金利2.5%の時代に無利子を獲得できたら、それだけで数十万円の節約と同じ意味を持つ。予約採用の学力基準は評定平均3.5以上。今から1年あれば、まだ間に合う数字だ。5段階評価のど真ん中より少し上。特別な天才じゃなくても、コツコツやれば届く。
❷ 給付型(返済不要)の対象かどうかを確認する
JASSOの給付型奨学金は、住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯が対象。2025年度からは3人以上の子どもを扶養する多子世帯なら所得制限なしで授業料等の無償化が受けられるようになった。「うちは関係ない」と決めつけず、自分の家庭が対象になるかどうかを親と一緒に確認すること。これが最初の一歩だ。
❸ 借りるなら「必要最低限」を計算する
「とりあえず多めに借りておこう」は、金利0.2%時代の考え方だ。金利2.5%では、余分に借りた分がそのまま利息の増加に直結する。月8万と月5万では、4年間で借入額が144万円違い、利息も数十万円変わる。学費と最低限の生活費を計算し、「本当に必要な金額」をまず出す。その上で月額を決める。この引き算ができるかどうかが、卒業後の自分を守る。
One More Thing ― 利率方式は「固定」を選べ
第二種奨学金を借りるとき、「利率固定方式」と「利率見直し方式」のどちらかを選ぶことになる。
見直し方式は今の時点では固定より金利が低い。でも返済中に5年ごとに金利が見直される。日銀がさらに利上げすれば、途中で3%に到達する可能性がある。
固定方式なら、卒業時に決まった金利がずっと変わらない。「これ以上は増えない」という安心を最初からロックできる。
金利が上がり続けているトレンドの中で、15年〜20年の変動リスクを抱えるのはギャンブルだ。
迷ったら固定を選べ。
From the Field ― 電気工事の現場から
俺は自営で電気工事をやっている。
高校を出てこの世界に入った人間だ。
現場で出会う20代、30代の技術者には、奨学金を抱えている人が少なくない。
その中で「借りる前にちゃんと計算しておけばよかった」と後悔している声を、何度も聞いてきた。
逆に、「専門学校2年で資格取って、奨学金は最小限にした。今はもう完済してる」と笑う若者もいる。
進学は素晴らしい選択だ。だけど「いくら借りて、利息がいくらで、何年で返すのか」を知らずに借りるのは、地図なしでツーリングに出るようなものだ。
まだ借りていない今だからこそ、数字と向き合ってほしい。
→ JASSO返還シミュレーション
→ JASSO進学資金シミュレーター
本記事のデータはJASSO(日本学生支援機構)の公式返還例および公開情報をもとに作成しています。利率は貸与終了時に決定され、時期により変動します。最新情報は各公式サイトにてご確認ください。


