2026年現在、個人事業主が法人化(法人成り)を検討する際、かつての「節税セオリー」が通用しない部分が出てきています。特にインボイス制度の影響と、社会保険料の負担増を踏まえた最新の判断基準を解説します。
1. 最大の変化:消費税免税メリットの消滅
以前は「法人化すれば2年間は消費税が免税」という大きなメリットがありましたが、2026年現在は状況が異なります。
- インボイス登録が必要な場合 法人化と同時に「適格請求書発行事業者」の登録を行うと、設立1期目から消費税の課税事業者となります。「2年間の免税期間」は事実上なくなります。
- 「2割特例」の活用 ただし、インボイス登録によって課税事業者になった場合、売上の消費税額の2割だけを納めれば良い「2割特例」が適用できる可能性があります(期間限定措置の延長状況要確認)。免税ではありませんが、負担は軽減されます。
2. 法人化を検討すべき利益ライン(2026年版)
社会保険料の負担増を考慮すると、分岐点は以前より高くなっています。
- 課税所得(利益)800万円〜900万円 ここが税率の分岐点です。所得税の超過累進税率が法人税の実効税率を上回り始めます。
- 売上1,000万円超の継続 個人で消費税課税事業者になっている場合、法人化して(インボイス不要な業種であれば)免税期間を得る選択肢は残りますが、BtoBビジネスでは稀です。
3. メリット・デメリット(最新)
| 項目 | メリット | デメリット・注意点 |
| 税金 | 役員報酬による所得分散、給与所得控除の活用。 | 赤字でも法人住民税(年7万円〜)が発生。 |
| 消費税 | インボイス未登録なら最大2年免税(※限定的)。 | インボイス登録なら初年度から課税。 |
| 社会保険 | 厚生年金に加入でき、将来の年金額が増える。 | 会社負担と個人負担を合わせると約30%の負担増。これが最大のネック。 |
| 信用 | 採用活動や大手取引に有利。 | 事務負担増(登記、税務申告の複雑化)。 |
4. 2026年の手続きトレンド:デジタル化
手続きの簡素化が進んでいます。
- 法人設立ワンストップサービス マイナンバーカードがあれば、定款認証から登記、税務署・年金事務所への届出までオンラインで一括申請可能です。
- GビズIDの取得 補助金申請や社会保険手続きに必須です。法人化と同時に取得しましょう。
まとめ
2026年の法人化は、「消費税免税目的」で行うと失敗します。
この3点をシミュレーションし、数字上のメリットが出ない場合は、無理に法人化せず個人のまま進めるのも賢明な判断です。


