Goodbye Lotteria. Hello Burger One. ── 54年の看板が外れた日、何が始まるのか。
結論|これは”名前を変えた”んじゃない。”戦い方を変えた”
2026年2月16日──今日、株式会社ロッテリアは「株式会社バーガー・ワン(Burger One Co., Ltd.)」に社名変更した。
公式サイトにはこう書いてある。
「ロッテリア」および「ゼッテリア」を運営する株式会社ロッテリアは、「株式会社バーガー・ワン」へと社名変更したことをお知らせいたします。
住所も電話番号もURLも変わらない。変わったのは「名前」だけ。でも、この名前の変更が意味するものは重い。
店舗としてのロッテリアは3月末に全店閉店し、4月からすべて「ゼッテリア」に統一される。1972年の創業から54年。社名からも、看板からも、「ロッテリア」の文字が完全に消える。
This is not a rebrand. This is a reset.
なぜ今なのか。その裏にある3つの理由を、経営戦略の視点で読み解く。
理由①|”ロッテ”と決別する──資本と名前の整理
2023年2月、外食最大手のゼンショーホールディングス(すき家・はま寿司の親会社)が、ロッテホールディングスからロッテリアの全株式を取得した。
「ロッテリア」という名前の由来は、そもそも「ロッテ」+「カフェテリア」。つまりロッテグループの外食ブランドだった。だが資本関係はすでに3年前に切れている。
にもかかわらず、社名に「ロッテリア」が残っていれば、消費者も取引先も「ロッテ系でしょ?」と思い続ける。ゼンショーにとっては、別の会社の名前を看板に掲げ続けている状態だ。
時事通信の報道はこう伝えている。
菓子大手のロッテ傘下だった形跡が残る名称を刷新し、グループとしてバーガー事業を強化する狙いだ。
資本が変わったなら、名前も変える。シンプルだが必然の判断。The old name had to go.
理由②|多ブランド展開への”器”を作る──社名≠店名の設計
ここがこの改名の最も戦略的な部分だ。
読売新聞によれば、社名変更の目的には「将来的な多ブランド展開」への対応が含まれている。
「バーガー・ワン」という社名は、ゼッテリアという特定のブランド名に紐づいていない。これは意図的だ。
ゼンショーHDは世界で約40ブランドを展開する巨大グループ。日経新聞は2026年1月、ゼンショーがカフェ事業から撤退し、M&Aによる多角化路線を見直して「次の柱となる事業に経営資源を集中させる」と報じた。つまりゼンショーは今、ブランドの”足し算”から”引き算と掛け算”にギアを切り替えている。
その文脈で考えると、バーガー・ワンという社名は「ゼッテリア以外の新ブランドを作っても社名を変えなくていい」設計になっている。たとえば価格帯の違う別ブランド、あるいはデリバリー特化型ブランドを立ち上げる場合、社名がそのまま使える。
一つの社名の下に複数の店舗ブランドを展開する。マクドナルドには真似できない、”後発ならでは”の柔軟性がここにある。
理由③|バーガーキングに抜かれた「3位転落」の現実
数字は残酷だ。
2025年、バーガーキングの国内店舗数がロッテリアを追い抜いた。2025年12月時点でバーガーキングは337店舗。一方、ロッテリアは106店舗(2025年12月末時点)、ゼッテリアは約170店舗。合計しても280店舗前後で、すでに逆転されている。
しかもバーガーキングはゴールドマン・サックスに約800億円で買収され、2028年度に売上高1,200億円、600店舗を目指すと公言。さらに上には、マクドナルド約3,000店舗、モスバーガー約1,300店舗が控える。
帝国データバンクの調査によると、2025年度のハンバーガー店市場は過去最高の1兆300億円前後。2年連続の1兆円超え。市場は膨張しているのに、ロッテリアのまま戦い続ければシェアは縮む一方──という危機感が、今回の決断を後押ししたことは間違いない。
「ロッテリア」のブランドをいつまでも”延命”するのではなく、ゼッテリアに一本化して勝負をかける。The market waits for no one.
時系列で見る|ロッテリア→バーガー・ワンの道のり
| 年月 | 出来事 |
|---|---|
| 1972年2月 | 株式会社ロッテリア設立。日本橋高島屋に1号店 |
| 2007年 | 「絶品チーズバーガー」発売、大ヒット |
| 2023年2月 | ゼンショーHD子会社がロッテリアの全株式を取得 |
| 2023年9月 | 東京・田町にゼッテリア1号店オープン |
| 2025年6月 | 北海道1号店「ゼッテリア サッポロファクトリー店」 |
| 2025年12月 | バーガーキングが店舗数でロッテリアを追い抜く |
| 2026年1月21日 | ゼンショーHD、ロッテリア全店閉店→ゼッテリア転換を正式発表 |
| 2026年2月16日 | 社名を「株式会社バーガー・ワン」に変更(本日) |
| 2026年3月末 | ロッテリア全店閉店、4月から全店ゼッテリアへ |
ゼッテリアとは何か──「絶品」×「カフェテリア」
改めて整理しておく。
「ゼッテリア(ZETTERIA)」は、ロッテリアの看板商品だった「絶品バーガー」と、気軽に楽しめるお店を意味する「カフェテリア」を掛け合わせた造語。ゼンショーの食材調達網を活かして、パン・肉・ソースの素材が刷新されている。
ロッテリアとの違いで注目すべき点は3つ。
まずメニュー構成の拡充。ロッテリアの絶品バーガーが2種類だったのに対し、ゼッテリアは6種類。「絶品オレンジチキンバーガー」「絶品牛カルビチーズバーガー」などの限定メニューが加わっている。
次にスイーツの充実。チョコチャンククッキーや宇治抹茶パイなど、バーガーチェーンの枠を超えたカフェテリア的メニューが並ぶ。
そして素材のアップグレード。同じ「絶品チーズバーガー」の名前でも、パティの配合、バンズの製法、ソースのレシピが違う。ゼンショーグループの巨大な調達力がここに効いている。
消えるロッテリアメニュー5品──食べ納めリスト
ゼッテリアに引き継がれない商品がある。ロケットニュース24の実食レポートによると、以下の5品が3月末で消滅する。
絶品ベーコンチーズバーガー(580円)
ゼッテリアにはすでに絶品シリーズが4品あり、ベーコンを扱う商品がほかにないため整理。
チーズてりやきバーガー(480円)
ゼッテリアにはてりやきビーフ・てりやきチキンの2種類があり、チーズ版は統合対象に。
トマト&レタスビーフバーガー(480円)
シンプルだが差別化ポイントが弱く、カット。
旨辛ビーフバーガー(480円)
季節限定で将来復活の可能性あり。
リブサンドポーク(590円)
ロッテリアの象徴。ソフトフランスパンという独自形状がネックとなり、引き継ぎ断念とみられる。
3月末までの猶予。食べ納め、悔いのないように。
今後の経営戦略を予測する──バーガー・ワンの”次の手”
ここからは取材情報と業界動向から読む、個人的な予測だ。
予測① ゼンショー調達力を活かした”素材勝負”メニューの拡充
ゼンショーグループ最大の武器は食材調達のスケール。すき家の牛肉、はま寿司の魚介──これらの調達ルートをゼッテリアに転用すれば、他チェーンには出せない品質のバーガーが作れる。すでに「絶品牛カルビチーズバーガー」でその片鱗は見えている。
予測② カフェテリア路線の深化──”居場所”としてのゼッテリア
名前に「カフェテリア」が入っている以上、スイーツ・ドリンクのさらなる拡充は既定路線だろう。マクドナルドの「マックカフェ」に対抗する形で、”ちょっと上質なカフェ利用”を狙ってくるはずだ。
予測③ 新ブランド投入の可能性
社名を「バーガー・ワン」にした最大の理由がこれ。ゼッテリアとは別の価格帯・コンセプトの新バーガーブランドが登場しても驚かない。低価格帯に振ったブランド、デリバリー特化型など、”ワン”の下に複数ブランドを束ねる構想が見える。
予測④ 北海道を含む地方出店の加速
2025年6月の北海道1号店以降、道内の転換・新規出店が加速している。2026年2月には名寄や札幌藻岩にも新店がオープン。ゼンショーグループのすき家が全国津々浦々に展開しているように、ゼッテリアも”バーガーの地方カバー率”を上げてくるだろう。
北海道のゼッテリア最新状況
道内で出張する身としては、現場帰りにどこでバーガーを食べられるかは切実な問題だ。
2025年6月にサッポロファクトリー店が北海道1号店としてオープン。その後イオン東札幌店、イオン札幌西町店(2026年1月)と転換が進み、2026年2月18日には西條名寄店、2月19日にはイオン札幌藻岩店がオープン予定。
道北の名寄にゼッテリアが来るのは嬉しい。帰り道の選択肢が増えるのは、出張ワーカーにとって地味に大きい。
ゼッテリア公式 店舗検索 https://www.zetteria.jp/shop/
出張先で使えるアイテム
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まとめ|名前が消えても、バーガーは走り続ける
ロッテリアという名前は今日、54年の歴史に幕を下ろした。
でも、消えたのは”名前”だけだ。 絶品チーズバーガーの系譜は、ゼッテリアが引き継ぐ。
バーガー・ワンという器は、まだ見ぬ新ブランドを待っている。
1兆円を超えたハンバーガー市場で、マクドナルドの背中を追い、バーガーキングとしのぎを削る。そのための名前変更だ。ノスタルジーに浸っている暇はない。
Names change. Flavors evolve. The road goes on.
──出張帰りに名寄のゼッテリアで絶品チーズバーガーをかじりながら、「ロッテリア」の名前をふと思い出す日が来るだろう。それでいい。いい名前だった。
参照・信頼情報
- ロッテリア公式「社名変更・新社名のお知らせ」(2026/02/16):https://www.lotteria.jp/contents/000067.html
- スポーツ報知「ロッテリア社名完全消滅」(2026/02/16):https://hochi.news/articles/20260216-OHT1T51113.html
- 読売新聞「店舗名がすべてゼッテリアに、社名もバーガー・ワンに変更」(2026/02/15):https://www.yomiuri.co.jp/economy/20260215-GYT1T00335/
- 日本経済新聞「ゼッテリアに賭けたゼンショー カフェは撤退、多角化路線を転換」(2026/01/26)
- 日本経済新聞「ロッテリアが社名も変更、バーガー・ワンに」(2026/02/15)
- 時事通信「ロッテリア社名変更、きょうからバーガー・ワン」(2026/02/16)
- 東洋経済オンライン「ロッテリアをゼッテリアに鞍替え」(2026/01/22):https://toyokeizai.net/articles/-/931175
- ロケットニュース24「ゼッテリアに引き継がれない5つの商品」(2026/01/30):https://rocketnews24.com/2026/01/30/2643177/
- 帝国データバンク「ハンバーガー店市場、2年連続1兆円超え」(2026/02):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001259.000043465.html
- ゼンショーHD IRニュース「株式会社ロッテリアの株式取得に関するお知らせ」(2023年):https://www.zensho.co.jp/jp/ir/ir_news/2023/post_5612.html
- ゼッテリア公式サイト:https://www.zetteria.jp/


