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【労災死亡事故】香川県丸亀市の工事現場でクレーン資材が落下。50歳大工の命を奪った「玉掛け」の危険性とは

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今朝、一人の職人が帰らなかった

2026年3月19日午前9時ごろ。香川県丸亀市柞原町の木造2階建て一般住宅の新築工事現場で、クレーンでつり上げられた木材の板が落下し、地上で資材の受け取り作業をしていた大工の男性(50歳・丸亀市三条町在住)に直撃した。

同僚が「資材に挟まれた」と119番通報。男性は病院に救急搬送されたが、約1時間40分後に死亡が確認された。

警察によると、落下した木材の板はクレーンにひもで固定されていたが、何らかの理由で外れ落ちた。現在、警察が事故原因を詳しく調査している。

「玉掛け」って何?知らないと死ぬ作業のしくみ

今回の事故のキーワードとなる「玉掛け」とは、クレーンのフックに荷物(資材)をワイヤーロープやチェーン・ひもなどで取り付け、安全につり上げ・移動・降ろしをするための作業のことだ。

建設現場では毎日のように行われる当たり前の作業だが、一歩間違えれば今回のように人命を奪う。玉掛け作業に関連して過去10年(平成18〜27年)でクレーン等による死亡者755人のうち、玉掛け関連が相当数を占めるとされており、建設現場の最重要危険作業のひとつだ。

なぜ落ちるのか

玉掛け事故の3大原因

厚生労働省の労働災害事例データベースや現場の安全教育資料から、玉掛け事故の原因は主に3つに集約される。

ひとつ目は玉掛け用具(ワイヤーロープ・ひも)の点検不備だ。ワイヤーロープに損傷があっても「まあいいか」で使い続け、荷重に耐えられず切断・外れが起きる。今回のケースも「ひもで固定されていたが何らかの理由で落下した」とされており、固定方法や用具の状態が焦点となる。

ふたつ目は不適切な玉掛け方法だ。荷物の重心が偏っているのに対称につらない、荷物の形状に合わない掛け方をするなど、現場のベテランでも慣れから手を抜きやすい部分だ。

みっつ目は立ち入り禁止区域の未設定・無視だ。今回の被災男性は「クレーンでつり上げられた資材を地上で受け取る作業をしていた」とされる。つり荷の真下・落下範囲内に人を立たせること自体が、労働安全衛生規則で禁止されている。この原則が現場でどこまで徹底されていたかが、今後の捜査で問われることになる。

現役電気工事士として、現場から言いたいこと

北海道を飛び回りながら電気工事をしている立場で、はっきり言う。

工期のプレッシャーが、安全確認をすっ飛ばす。

「急いで資材を上げてくれ」「受け取れる位置に立っておいてくれ」——この一言が今回のような悲劇を生む。住宅の新築工事は工期が短く、クレーン作業は段取りを急がせる圧力がかかりやすい。50歳という働き盛りの職人が、まだ現役でいられたはずの命が、今朝奪われた。

2024年の労働災害死亡者数は全産業で746人(厚生労働省)。建設業は「墜落・転落」と並んで「飛来・落下」による死亡が多い。数字の裏に、今日の丸亀市のような現場が毎月ある。

玉掛け事故を防ぐ「5つの鉄則」

現場監督・職人が今すぐ確認すべきポイントをまとめる。

  • ① つり荷の真下・落下範囲内に絶対に人を立てない(労働安全衛生規則第474条)
  • ② 玉掛け用具(ワイヤー・ひも・スリング)は作業前に毎回点検する
  • ③ 荷物の重心を確認し、適切な掛け方を選ぶ(斜め・片掛けは厳禁)
  • ④ 合図者を専任で決め、クレーンオペレーターとの意思疎通を徹底する
  • ⑤ 風速・天候・視界など作業環境の確認を怠らない

まとめ:「慣れ」が最大の敵

玉掛け作業は毎日やるから「慣れ」てしまう。その慣れが確認を省き、ひもの一本を疑わなくする。今朝の丸亀市の現場で起きたことは、日本中の工事現場で「明日起きうること」だ。

50歳の大工の男性のご冥福を心からお祈りするとともに、この事故が全国の現場で安全確認を見直すきっかけになってほしい。警察の捜査の行方とともに、原因の全容解明を待ちたい。

参照・出典