「弱者の味方」を掲げる党で、いったい何が起きているのか
2026年3月19日、れいわ新選組の党幹部が国会内で定例会見を開いた。「週刊新潮」が報じた公設秘書の給与「上納疑惑」に正面から答えるはずの場だったが、会見は異例の2時間に及び、納得できない記者が続出。そして肝心の山本太郎代表と大石あきこ共同代表は姿を見せなかった。「弱者の代弁者」として支持を集めてきた党の、思わぬ内側が浮かび上がっている。
週刊新潮が報じた「秘書給与・上納疑惑」の全容
元衆院議員と元秘書による実名告発
3月12日発売の「週刊新潮」は、れいわ新選組前衆院議員・多ケ谷亮氏と、山本太郎代表の元私設秘書B氏の告発をもとに疑惑を報じた。その内容はこうだ。
れいわには所属国会議員に対し、国費で賄われる公設秘書の枠を党本部に「上納」させる慣行があるというものだ。本来、公設秘書は議員の立法・政治活動を補佐するために国が給与を支払う制度だ。しかし告発によれば、形式上は公設秘書として登録されながら、実態は党事務所で党の業務に専念していたというのである。
多ケ谷氏は具体的に証言している。「党からあてがわれた第一秘書のA氏が私の事務所に出勤したのは、3年間でわずか数日。基本的に党事務所に勤務し、党の仕事に専念していた。秘書としての勤務実態はゼロだ」。
さらに衝撃的なのは、秘書枠の「吐き出し」に協力した議員へのキックバック制度まで存在したという証言だ。2024年11月に議員に届いたLINEメッセージには、第一秘書枠を差し出せば月30万円(年360万円)が政党交付金として追加支給されるという仕組みが示されていたとされる。
「名義貸し」との違いは何か
過去にも秘書給与をめぐる問題は他党で起きてきた。辻元清美氏(2002年)や広野允士氏らのケースは「架空の人物に給与を支払う」または「自分の口座に戻させる」という形の詐欺事件だった。今回の疑惑はやや異なる。秘書は実在し、給与も本人に全額渡っている。問題は「議員の仕事ではなく、党の仕事をしていた」という勤務実態の乖離だ。党側はこの点を「政党活動も議員活動のうち」という論理で違法性を否定しているが、果たしてその説明は通るのか。
異例の2時間会見|党側の反論と「違法性なし」の根拠
山本ジョージ幹事長・高井崇志副幹事長の主張
3月12日の会見を急きょキャンセルしたれいわは、「記事には質問状になかった内容も含まれており、事実確認に時間を要した」として、この日の会見に臨んだ。出席したのは山本ジョージ幹事長、高井崇志副幹事長、伊勢崎賢治副代表の3名だ。
高井副幹事長は繰り返しこう主張した。「国会議員の活動は立法活動だけでなく、政治活動全般を指す。政党活動もその一部であり、それを補佐する秘書を議員と合意の上で採用している。党は給与を一円も受け取っていない。詐取は事実無根だ。弁護士にも確認済みで、違法性はまったくない」。
しかし記者の追及はやまなかった。多ケ谷氏が「A氏が私の事務所にはほとんど出勤していなかった」と証言しているのに対し、高井氏は「最初の1年間はかなり多ケ谷事務所に勤務していた」と反論。だが勤務実態を示す具体的な資料は一切提示されなかった。 納得できない記者が質問を重ね続け、会見は異例の2時間に達した。
なぜ山本太郎代表と大石あきこ議員は欠席したのか
疑惑の核心人物である2人の姿は、最後まで会見に現れなかった。記者からは当然、「なぜ当事者が出席しないのか」という指摘が相次いだ。大石氏がXで「嫌がらせの段階に入った」と投稿していたことについて質問が飛んだが、高井氏は「大石さんではないので答えにくい」とかわすのみ。「だからこそ大石氏が出席すべきではないか」という声も上がったが、明確な答えはなかった。
支持層も動揺?ネットで炎上する「隠蔽・パワハラ」の波紋
元職員への「警告書簡」という悪手
さらに火に油を注いだのが、会見前日に報じられた「公益通報潰し」の疑惑だ。デイリー新潮によれば、れいわは週刊新潮の取材に告発したB氏に対し、「退職時に交わした守秘義務契約に違反する」として、これ以上話すなという趣旨の警告書を送っていたというのだ。
「非正規をなくす」「弱い立場の人を守る」と掲げてきた党が、内部告発した元職員を法的圧力でねじ伏せようとしている——この矛盾は、支持者のみならず多くの人の目に鮮明に映った。公益通報者保護法は、不正を告発した労働者への不利益取り扱いを禁じている。専門家からも「警告書の内容によっては同法に抵触する可能性がある」と指摘する声が上がっている。
支持者から漏れる不安の声
Xでは支持者からも率直な声が相次いだ。
「他の人には『逃げた』とキーキー騒ぐのに、自分には甘い」
「問題ないと言うだけで証明する気はない」
「高市早苗にあれだけ逃げたと連呼しておいてそりゃないわ」
「クリーンな政党だと信じていたのに」
かつて権力の不透明さを糾弾してきた言葉が、そのままれいわに向いている。
まとめ|「合法か違法か」だけで納得は得られるのか
党側の主張を整理すれば「弁護士の見解では違法ではない」「給与は全額秘書本人が受け取っている」「政党活動も議員活動の一部」ということになる。法律の条文の上ではギリギリセーフとなる可能性もある。しかし問題の本質はそこではないだろう。
国から支払われる公設秘書の給与は税金だ。その税金が、議員本来の仕事ではなく、党代表の全国遊説や随行スタッフの人件費に流れていたとすれば
たとえ「違法ではない」としても、納税者として腑に落ちるものではない。
今求められているのは「弁護士のお墨付き」ではなく、山本太郎代表自身の口による、具体的な説明だ。 勤務実態を示す資料の公開、第三者委員会による検証、そして告発した元職員への圧力をやめること
この三つなくして、支持者の動揺が収まることはないだろう。

