わずか数年前まで「タダ同然」だった奨学金の金利が、今や2.5%超え。
「うちの子は大丈夫」――そう思っている親こそ、この記事を読んでほしい。
北海道の現場を飛び回る自営業者が、子どもの未来を守るために”親が今やるべきこと”をまとめた。
The Interest Rate Shock ― 0.2%が2.5%になった現実
まず、数字を見てくれ。
JASSOの第二種奨学金(有利子)の利率固定方式の推移がこちら。
| 時期 | 利率(固定方式) |
|---|---|
| 2021年4月 | 0.268% |
| 2025年3月 | 1.641% |
| 2026年1月 | 2.512% |
(出典:JASSO公式/各時点の貸与終了利率)
2021年の0.268%から2026年の2.512%へ。
約9倍。
仮に2022年頃の0.4%台と比較しても、5〜6倍の上昇だ。2025年12月の日銀政策金利0.75%への引き上げが直撃し、奨学金の金利は「上限3%」という天井にじりじり迫っている。
あの頃、「奨学金は金利が低いから借りなきゃ損」と言われていた時代は、完全に終わった。
What Does It Mean? ― 返済額はどれだけ変わるのか
「金利が上がった」と言われても、ピンとこない人のために。
第二種奨学金を月5万円×4年間(総額240万円)借りたケースで、卒業時期による返還総額の違いを出してみる。
| 卒業時期 | 適用利率 | 返還総額(15年) | うち利息分 |
|---|---|---|---|
| 2021年3月卒 | 0.268% | 約245万円 | 約5万円 |
| 2026年3月卒 | 2.512% | 約284万円 | 約44万円 |
利息だけで約39万円の差。
同じ240万円を借りたのに、卒業した年が違うだけでこれだけ変わる。
月8万円×4年間(総額384万円)なら、利息の差はさらに広がる。
国立大学の半年分の授業料が、利息として消えていく計算だ。
A Parent’s Worst Mistake ― 「子どもに任せている」という落とし穴
道内を飛び回って仕事をしていると、色んな世代の人と話す機会がある。
20代の若い技術者に「奨学金いくら借りてる?」と聞くと、金額は即答できる。
でも「金利は?」と聞くと、ほとんどが首をかしげる。
「たぶん……固定だったと思います」
「親が手続きしてくれたんで、よくわかんないです」
これが現実だ。
子どもは金利なんて気にしていない。
だからこそ、親が動くしかない。
「子どもの問題だから」と放置するのは、2026年の金利環境では最大のミスになる。
5 Things Parents Can Do Now ― 親が今やるべき5つのこと
❶ 給付型奨学金の対象かどうかを確認する
返さなくていい「給付型」が最強の選択肢なのは言うまでもない。住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯が対象で、2025年度からは3人以上の子どもを扶養する多子世帯なら、所得制限なしで授業料等の無償化が受けられるようになった。「うちは対象外」と決めつけず、まず確認すること。
❷ 第一種(無利子)を取らせるために、高校の成績を上げる
金利2.5%超の時代に、無利子の第一種を獲得できるかどうかは、もはや数十万円のキャッシュバックと同じ意味を持つ。条件は評定平均3.5以上。全利用者のうち約2割しか使えない枠だが、逆に言えば校内順位を上げればチャンスはある。子どもに「成績を上げろ」と言うだけじゃなく、なぜ上げる必要があるのか”お金の言葉”で伝えること。
❸ 第二種を借りるなら「利率固定方式」を選ぶ
2026年1月時点で、固定方式は2.512%、見直し方式(変動)は1.700%。一見、変動のほうが安く見える。だが日銀がさらに利上げすれば、5年後の見直しで3%に迫る可能性がある。返済期間15〜20年のあいだ「いつ上がるか」とビクビクするより、「これ以上は増えない」という安心を買うほうが賢い。上限3%という天井がすぐそこにある今、固定で確定させる判断が効く。
❹ 借りる額を「最小限」に設計する
「とりあえず多めに借りておこう」は低金利時代の発想だ。金利2.5%の世界では、余分に借りた分だけ利息が重くなる。月8万と月5万では、4年間の利息差だけで相当な金額になる。学費と最低限の生活費を計算し、本当に必要な額だけを借りる。この「引き算の設計」を、親が一緒にやってほしい。
❺ 北海道の返還支援制度と企業代理返還を一緒に調べる
北海道庁のデータによると、道内の数十市町村が奨学金返還支援に取り組んでいる。札幌市・旭川市・函館市・釧路市などの「返還支援型」に加え、富良野市・斜里町・芽室町などの「返還免除型」もある。さらにJASSOの企業代理返還制度には道内171社以上が登録済み。就活前に「どの企業が代理返還してくれるか」を親子で調べておくだけで、将来の返済負担が劇的に変わる。
From the Field ― 現場の自営業者として思うこと
俺自身、大学を出ていない。
電気工事の世界に入って、手と体で仕事を覚えてきた。
だからこそ思う。学ぶことには価値がある。
奨学金を借りてでも進学する意味がある子は、間違いなくいる。
ただし、金利が5倍になった世界では、「なんとなく」は通用しない。
「いくら借りて、いくら返して、何年かかるのか」――この会話を、親子で食卓に出してほしい。お金の話をタブーにしている家庭ほど、卒業後に苦しむのは子どもだ。
数字は嘘をつかない。だから数字を味方につけろ。
まとめ ― Protect Your Kid’s Future
| やること | 効果 |
|---|---|
| 給付型・第一種の対象か確認 | 利息ゼロ=数十万円の差 |
| 固定方式を選択 | 将来の金利上昇リスクを遮断 |
| 借入額を最小限に設計 | 不要な利息を発生させない |
| 北海道の返還支援・企業代理返還を調べる | 返済そのものを軽減・免除 |
| 親子で「お金の会話」をする | 最大の防御は”知ること” |
奨学金の金利が5倍に跳ね上がった2026年。
「知らなかった」で子どもの20代を犠牲にしないために、親が今、動くべきだ。
本記事のデータはJASSO(日本学生支援機構)・北海道庁・各報道機関の公開情報をもとに作成しています。利率や制度内容は変更される場合がありますので、最新情報は各公式サイトにてご確認ください。


