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気づけば見かけなくなった、あのチュンチュン

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電線にズラッと並んでチュンチュン騒いでいた、あのスズメ。最近、見ていない。気のせいかと思って空を見上げる癖がついた人、けっこう多いんじゃないだろうか。

X(旧Twitter)でも「スズメ最近見なくない?」「カラスもゴミ漁ってない」という声が断続的にバズる。北海道の電気工事現場でも、軒先の換気フードに巣を作っていたあの連中が、ここ数年でめっきり静かになった。脚立に登っても、頭上を旋回するカラスがいない。

結論から言うと、これは気のせいじゃない

環境省のガチの調査データが、その違和感に答えを出している。

夕暮れの日本の郊外風景イラスト。電線にスズメが1羽だけ残り、耕作放棄された田んぼと無人のゴミ集積所が広がる。かつての賑わいが消えた静かな景色で、身近な鳥の激減を象徴。

スズメが「絶滅危惧種レベル」で減っていた衝撃データ

2024年10月、環境省と日本自然保護協会が発表した「モニタリングサイト1000 里地調査 第4期とりまとめ報告書」

これが、想像以上にエグい内容だった。

読売新聞の報道によれば、環境省が定める絶滅危惧種の判定基準は「年間減少率3.5%以上」。

これに該当した鳥類が、なんとスズメ、セグロセキレイ、オナガ、ホトトギスなど7種にものぼった。

朝日新聞(2025年7月報道)はさらに踏み込み、2015年以降のこれら7種の平均減少率は年-7.4%と報じている。年率7%超の減少が10年続けば、個体数は半分以下になる計算。これは「ちょっと減った」というレベルじゃない。

「街にいるから大丈夫」と思っていたスズメが、絶滅危惧種の判定基準を満たしうる

この事実、もっと騒がれていい。

15年で約40%減 ─ 環境省「モニ1000」が暴いた現実

モニタリングサイト1000(通称モニ1000)は、全国200カ所以上の里地を対象に、2005年から20年以上続く国家プロジェクト。鳥類だけでなくチョウ、植物、ホタル、カエルまでをトータルで監視している、日本最大級の生物多様性ウォッチだ。

前期報告(2005-2017年度)ではスズメは「ほぼ横ばい」だった。それが今回の第4期報告(2005-2022年度)では一転して減少トレンドへ突入

さらに2015年以降に区切ると、減少カーブが急激に立ち上がっている。

データの読み方を雑にしないために言えば、「15年で40%減」というのは7種を平均した目安値であり、地域差・年度差はある。だが、国の公的調査が「身近な鳥が危ない」と公式に認めた意味は重い

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犯人は気温上昇?スズメ減少の3大要因

報告書を分析した研究者が「最も影響が大きい」と名指ししたのは、気候変動による気温上昇だった。

第一の犯人は気温。スズメの繁殖期である4〜8月の高温化が、ヒナの生存率を直撃する。卵やヒナは熱に弱く、巣箱内が35℃を超えると致命的だ。北海道ですら夏の最高気温が35℃を超える日が珍しくなくなった2020年代、本州の状況は推して知るべし。

第二の犯人は里地里山の管理放棄。人口減少と高齢化で田畑や草地が手入れされなくなり、放置された土地は雑木林化していく。開けた環境を好むスズメにとっては、住む場所そのものが消えるわけだ。

第三の犯人は農薬と稲作の変化。ネオニコチノイド系農薬の普及で田畑の昆虫が減り、二毛作の減少で冬場の落ち穂も不足。雑食のスズメといえど、エサがなければ生きられない。

要するに、「暑い・住めない・食えない」のトリプルパンチ

人間社会の変化が、まるごとスズメに皺寄せされている構図だ。

カラスはどこへ消えた?都市から森林へ逆流中

スズメと並んで「最近見ない」と話題なのがカラス。こちらは別の事情だ。

東京都環境局のカラス対策プロジェクト報告書によれば、都内のハシブトガラス推定生息数は、2001年のピーク時約3万6千羽から、近年は1万羽前後まで激減している。

7割減だ。

要因は明快。生ゴミの分別徹底、ネット掛けの普及、防鳥カラスよけボックスの導入、繁殖期の営巣撤去、そして自治体ぐるみの捕獲事業。

「都市はもうカラスのレストランじゃない」となれば、彼らは本来の生息地である森林へと帰っていく。

これは保全的にはむしろ「正常化」とも言える。ただ、ゴミ集積所のあの黒い大群が消えた都市風景は、便利になったと喜ぶべきか、不気味と感じるべきか、判断が分かれるところだろう。

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スズメが減れば人間も危ない ─ 生態系の連鎖反応

「たかがスズメ1種が減っただけ」では済まない。鳥類は生態系のカナリアだ。

スズメが減れば、彼らが食べていた害虫は増える。受粉や種子散布を担う鳥が減れば、植物の世代交代も滞る。土壌微生物から猛禽類まで、ピラミッドの一段が抜ければドミノ式にバランスが崩れていく。

国連の生物多様性報告書は、現代の絶滅速度を自然状態の100〜1,000倍と推定する。スズメの減少は、地球規模の異変が「日本の電線」というローカルな景色に投影された結果でしかない。

つまり、スズメが見えなくなった風景は、人間の暮らしの土台が静かに崩れ始めている健康診断結果なのだ。

都心では増えて郊外で減る「スズメの二極化」

ここがこの記事で一番伝えたい逆説。

バードリサーチの調査では、1990年代と2010年代の東京を比較したところ、都心部(東側)ではスズメが増加し、郊外(西側)では減少という分布逆転が確認されている。

理由はシンプルで、都心は公園・街路樹・人が落とすパン屑など、餌と緑がコンパクトに揃う「コスパの良い住環境」。一方、郊外は耕作放棄地と荒れた草地ばかりで、開けた田畑という古き良き生息地が消えていく。

スズメですら、もはや都会に住んだほうがマシな時代——という事実は、地方在住者として正直しんどい。北海道の現場でも、札幌都心部の駅前ロータリーには相変わらずスズメがいるのに、出張先の道東の農村部では本当に見なくなった。

実感とデータが、見事に一致する。

あなたの街で今すぐできる、小さな鳥活

絶望してても始まらない。個人レベルでできることは意外と多い。

まずバードバス(水浴び場)の設置。夏場の鳥にとって水場は命綱で、ベランダに浅い皿一つ置くだけでも違う。
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次に実のなる樹木を庭に植える。ナンテン、ピラカンサ、ヤマボウシなどはヒヨドリやムクドリも呼ぶ。
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家庭菜園はネオニコチノイド系農薬を使わない選択を。市民科学アプリ「eBird」「バードリサーチ」に観察記録を投稿すれば、それ自体がモニ1000を補強するデータになる。

そして、ちゃんと見るために双眼鏡を一つ
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巣箱を設置するなら換気と排水を考えた設計を。ここは電気工事屋として一言、屋外に置くものは必ず雨仕舞いを意識してほしい。

「いない」に慣れる前に、知っておきたいこと

人間は風景に慣れる生き物だ。スズメがいない朝、カラスのいないゴミ捨て場が「ふつう」になった頃には、もう元には戻せない。

モニ1000のデータは環境省サイトで誰でも閲覧できる。「最近見ないな」という違和感は、専門家でなくても拾える生物多様性の信号だ。SNSで一言「今日スズメ見た」とつぶやくだけでもいい。違和感を記録し、共有することが、未来の風景を守る最初の一歩になる。

北海道の現場を回りながら、軒先の換気フードに巣穴がある家を見ると、ちょっと嬉しくなる。あの「チュンチュン」がうるさいと感じられる時代に、戻りたい。

SNS口コミ

  • 「言われてみれば、家のベランダにスズメ来なくなって3年経つかも…怖」
  • 「カラスがいないと逆に物足りない。都会が無菌室みたいになってる」
  • 「北海道の実家、田んぼ周りからスズメ消えたって親が言ってた。データ見て納得」
  • 「都心の方が多いって、人間と一緒じゃん…」
  • 「巣箱買った。鳥活って言葉、染みる」