2026年3月15日(現地14日) マイアミ・ローンデポパーク 出典:日刊スポーツ・フルカウント・Number Web・産経スポーツ
深夜0時16分、マイアミのスタジアムに歓声が弾けた。それはベネズエラの歓声だった。侍ジャパンの三塁側ベンチだけが、夏の夜の空気の中でひっそりと静まり返っていた。
【最後の打者は、大谷翔平だった】
9回2死。大谷翔平が打ち上げたフライが、ショートのグラブに収まった瞬間、勝負は終わった。前回王者・侍ジャパンがWBC準々決勝でベネズエラに5-8で敗れた。6度目のWBCで初めて、4強の壁に届かなかった。
試合を通じて5本のホームランが飛び交う打ち合いだった。1回裏、先頭打者として大谷が先制ソロを放ち「お茶たてポーズ」を披露したあの瞬間は、まるで前大会の興奮が蘇るようだった。しかし結果は力負け。大谷は「強かったですし、やっぱり力で最後、押し切られた印象」と唇をかんだ。
最後の打者になった男は、足早にベンチ裏へと引き揚げた。歓喜に沸くベネズエラの選手たちの脇を通り抜け、一直線に。その背中を追いかけたのは、先発投手の山本由伸だった。昨秋のワールドシリーズを2人で制した間柄。悔しさを胸に押し殺した2人は、グラウンドには戻らなかった。
最後のファンへの整列。頭を下げた侍たちの列に、大谷と山本の姿はなかった。
【1時間、誰もロッカーを出なかった】
試合後、選手たちはロッカールームに消えた。そして出てこなかった。1分、10分、30分——。
取材陣が待つミックスゾーンに最初の選手が姿を現したのは、試合終了から1時間7分が経った頃のことだ。
先頭は菅野智之。もし勝ち進んでいれば準決勝の先発として登板するはずだった男が、静かに歩いてきた。続いて姿を現した吉田正尚は、テレビカメラの前で言葉を絞り出した。
「取って取られての繰り返しで、最後、結果的に負けてしまった。マイアミに来てからが勝負だと思っていましたけど、残念な結果、寂しい結果になってしまった」
鈴木誠也の目は赤かった。この大会、負傷を抱えながらプレーし続けた背番号は「最後の最後でけがをしてしまったので、本当に申し訳ない」と言った。謝る必要など、どこにもなかったのに。
ロッカールームの中で何があったのか。報道陣は中を知る術を持たない。ただ確かなのは、1時間という時間の重さだ。勝利の美酒を飲む時間ではなく、互いの悔しさと誇りを分かち合い、言葉にならない思いを伝え合うための1時間だった。
【大谷翔平が語った「また会おうね」】
深夜1時を回った頃、大谷が取材エリアに現れた。帰路についたのは午前1時40分。そこまでの時間を、ただ仲間と過ごしていた。
「優勝以外は失敗。結果的にはそうなる」とまず言い切った。言い訳をしない男の言葉だ。
そして続けた——。
「終わったばかりなので、次に次にっていう風にはなかなか考えられてないと思うんですけど、必ず代表(の戦い)はこの先もありますし、若い選手も多いので、次のチャンスは必ずあるかなと。そこに向けてまたみんなで頑張りたいなというか、『また会おうね』ってみんなで話したので、一回りも二回りも大きくなって、また戻ってくるんじゃないかなと思います」
「また会おうね」。
たったその一言に、日本中が涙した。SNSには「泣ける」「その言葉しびれる」「大谷選手の言葉に感動した」というコメントが溢れた。ファンだけじゃない。選手たちも、その言葉を聞いて泣いたはずだ。
【次の約束へ——2028年、そして次のWBCへ】
大谷は既に次を見ている。2028年のロサンゼルス五輪での日の丸への言及、そして次回WBCへのリベンジの誓い。「代表戦はもちろん、リベンジというか挑戦したい。次の機会、また集中したい」。ドジャースに戻れば、今度はフルシーズンの二刀流でワールドシリーズ3連覇を目指す戦いが待っている。
負けた夜に「次」を語れる人間は、強い。あの1時間のロッカールームで何が語られたのかは分からない。でも「また会おうね」という言葉だけで、全てが伝わる気がした。
侍ジャパンはまだ終わっていない。この夜の悔しさを燃料にして、もっと強くなって帰ってくる。大谷翔平がそう誓ったのだから。
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出典:フルカウント(2026/3/15)、日刊スポーツ(2026/3/15)、Number Web(2026/3/16)、産経スポーツ(2026/3/15)。

