本記事公開(3月15日)時点で「分水嶺」と位置づけた3月19日の日米首脳会談は、結果として支持率を一時押し上げた。会談を「評価する」との回答が日経で65%、読売で69%に達し、内閣支持率も日経72%・読売71%へと反発。3月の下落は「底」ではなく、いったん持ち直す展開となった。
ところが4月以降は再び下落基調が鮮明になる。各社の数字を並べると流れが見えてくる。
🔸 時事通信:4月59.1%(▲0.2pt)→ 5月59.4%(+0.3pt)と横ばい
🔸 NHK:4月61%(+2pt)→ 5月61%(横ばい)
🔸 読売新聞:4月66%(▲5pt)→ 5月64%(▲2pt)
🔸 毎日新聞:4月53%(▲5pt)→ 5月50%(▲3pt)で発足以来最低を更新
特に毎日新聞の50%は象徴的だ。発足直後に70%超を記録した勢いは影をひそめ、調査方式によっては「5割すれすれ」まで地合いが弱まった。日経・朝日・産経・共同も5月は軒並み2〜4ポイントの小幅下落で、「高水準だが、じわじわ目減りする」局面に入っている。
下落要因に加わった「第4の理由」——中傷動画疑惑
本記事では支持率低下の理由を「カタログギフト問題」「ガソリン対応の遅れ」「外国人政策発言」の3つに整理した。ここに、第4の要因が加わった可能性が高い。
5月、週刊文春が報じた高市陣営の「中傷動画」疑惑だ。総裁選・衆院選でライバルや野党候補を狙った中傷動画を組織的に拡散していたのではないかというスクープで、首相は「秘書を信じる」と全面否定したものの、文春は67通の証拠メールや43分のZoom音声を相次いで公開。「強い支持」の比率が初めて3割を割ったという調査結果も出ており(2026年5月の電話調査)、熱量の高い支持層が様子見に転じた兆候がうかがえる。
中傷動画疑惑の詳細な経緯は、別記事「高市首相『中傷動画』疑惑とは何か」で時系列に整理しています。
いま読み解くべきポイント
支持率はなお5〜6割と歴代でも高い水準にある。だが注目すべきは水準より「方向」と「質」だ。第一に、下落が4月・5月と連続している点。第二に、「強い支持」が縮小し「消極的支持」へ置き換わっている点。第三に、カタログギフトに始まる「庶民感覚とのズレ」「言行不一致」という批判の軸が、中傷動画疑惑でさらに補強されてしまった点だ。
石破政権への反動が高支持率の主因だったとすれば、その貯金は着実に取り崩されつつある。次に注視すべきは、中傷動画疑惑が国会でどこまで追及され、夏に向けて支持率の「方向」が下げ止まるのか、それとも5割割れが常態化するのか——その分岐点である。

