あの夜、官邸前に3,600人が集まった。ペンライトの海。警察の壁。金曜の霞ヶ関を歩道ごと埋め尽くした抗議の波。
詳しくは前回の記事で書いた。
でも、正直なところ、
これだけボロボロ出てくる首相、日本政治史にいるか? という疑問が拭えない。
いま何が出てるのか
ざっと挙げるだけでもこれだ。
① カタログギフト問題(2月)
衆院選大勝の”当選祝い”として、自民党の衆院議員315人全員に1冊約3万円のカタログギフトを配布。自腹ならまだしも政党支部からの寄付と説明。「法令上問題ない」と言い張るが、政治とカネへの感覚が麻痺してるとしか思えない。
② 中傷動画疑惑(進行中)
週刊文春がスクープ連発中。高市陣営の秘書が他候補を貶めるSNS動画の作成・拡散に関与していた疑惑。Zoom会議の音声データまで出てきた。秘書と動画作成者のやり取りが生々しい。「確認のしようがない」「大変心外」──国会答弁は日を追うごとに揺れている。6月の追及で「秘書にキレられた」と感情を吐露する場面も。
③ サナエトークン騒動(2月〜3月)
2026年2月25日、Solanaブロックチェーン上に 「SANAE TOKEN(サナエトークン)」 なる仮想通貨が忽然と現れた。発行元はNoBorder DAO(溝口勇児氏ら)。
初値から約30倍に急騰。時価総額は一時25億円。
「高市首相の名前を勝手に使ったミームコイン」──と思いきや、後援会関係者が「お墨付き」を匂わせ、発行者側も高市関与をアピール。首相の名前で金を集めるという、前代未聞のスキームが動き始めた。
だが3月2日、高市首相がXで全面否定。
「このトークンについて一切関与しておらず、何の承認も与えておりません」
その瞬間、価格は58%急落。その後さらに下落し、最終的に99%暴落。金融庁が実態調査に乗り出す異常事態に発展した。
さらにメディアは、このトークン騒動と「中傷動画疑惑」の背後に同じ人脈・グループがいると指摘している。別々に見える2つの案件が、実は一本の線でつながっている可能性──。
④ 防衛費GDP比2%→前倒し→トランプ政権からは5%要求
財源の議論も国民的合意もないまま、目標だけがどんどん膨らむ。増税か社会保障削減か──そのツケは確実に国民に回る。
⑤ 改憲への急加速
戦後日本の平和主義を根底から変えようとしている。BBCが「ここ数十年で最大規模の反戦デモ」と報じた背景には、この動きへの危機感がある。
それでもなぜ支持されるのか
普通の政権なら、これだけ出れば支持率30%台だ。なのに50〜60%をキープしている。
理由はこうだ。
1. スタートが高すぎた 発足直後79.5%。若年層76%。貯金がデカすぎて、少々の失点では致命傷にならない。
2. 「リーダーシップがある」というイメージ 時事通信調査で支持理由トップ。中身はともかく、決断する姿が評価されている。
3. 「代わりがいない」──野党の弱さ 朝日新聞が分析する「消極的支持」。高市を支持するというより、他に任せられる相手がいない。
4. スキャンダルが”生活実感”まで届いていない カタログギフトもサナエトークンも中傷動画も、永田町の中の話。北海道の現場で働く人間からすれば「また東京で何かやってるな」で終わる。物価高・燃料費・円安──そっちの方が切実だ。
5. 若者は意外と気にしてない 76%の支持率。SNSネイティブ世代からすると、政治家の名前が仮想通貨になるのはむしろ親近感に映る可能性すらある。
それでも潮目は変わった
ただし、6月第1週のデータで自民党支持率が30%割れ(28.9%)。内閣支持率も調査によっては50%割れ目前。
「黙って支持していた層」が静かに離れ始めている。
サナエトークンで99%溶けた投資家の怨嗟、官邸前に立つ3,600人のペンライト
その光は、まだ消えていない。

