
「自動車税の納税通知が来たんだけど…廃止されたんじゃないの?」 「高市さん、嘘つき!」
2026年5月、X(旧Twitter)やThreadsなどのSNS上で、こんな怒りの声が溢れかえりました。
発端は、2026年4月にSNSで大量に拡散された「高市首相が自動車税の廃止を正式決定!」という投稿。テレビニュース風の画像付きで、多くの人が「本当に廃止されるんだ!」と信じてしまったのです。
しかし5月に入り、例年通り自動車税の納税通知書が届くと、「騙された!」「嘘つきだ!」という批判が殺到。SNS上は大混乱に陥りました。
実はこの情報、完全なフェイク(偽情報)だったのです。
この記事では、ファクトチェック団体の調査結果をもとに、フェイク情報の真相と、あなたがデマに騙されないための見分け方を詳しく解説します。
SNSで拡散された「自動車税廃止」投稿の内容
拡散された画像の特徴
2026年4月、以下のような投稿がSNS上で急速に広まりました。
投稿の特徴
- テレビ朝日系ANN風のニュース画面
- 「速報 自動車税を廃止へ!! 家計負担の大幅軽減で関連株に追い風!」という文字
- 高市首相の映像に「高市総理大臣 すべての自家用車を対象に 自動車税を廃止します」というテロップ
一見すると、本物のテレビニュースから切り取ったかのような、非常にリアルな画像でした。
SNSでの反応
この投稿を見た多くのユーザーは
✅ 「本当だったらすごい!」と歓迎
✅ リツイートやシェアで情報拡散
✅ 投資勧誘(「関連株に追い風」)に反応
しかし5月に自動車税の納税通知が届くと…
❌ 「嘘つき高市か!!自動車税きたんだけど…廃止じゃないんかーい!」
❌ 「嘘に決まっとんやがな‼️ こっちにも自動車税キトンがね」
❌ 「基本嘘つきです」
と、怒りの声に一変しました。
完全なフェイク(虚偽情報)
日本ファクトチェックセンター(JFC)の調査により、この情報は完全なフェイクと判定されました。
1. 画像は加工された偽物
真相
- 画像は2026年4月12日にANNが放送した番組映像から切り抜かれたもの
- 元の動画の内容は「憲法改正への意欲」に関するニュース
- 自動車税については一切言及していない
- 高市氏の画像に「自動車税を廃止」という文字を合成して偽ニュースを作成
Googleレンズで画像検索することで、元動画が特定されました。元の映像では、高市首相は自民党大会で憲法改正について語っていただけだったのです。
2. 実際の政策:一部の税のみ廃止
実際に行われた税制改正
- ✅ 2026年4月から「環境性能割」(車購入時にかかる税)のみ廃止
- ❌ 「自動車税種別割」(毎年5月に支払う税)は継続
- ❌ 「重量税」なども継続
つまり、車を購入する際の税負担は軽減されましたが、毎年支払う自動車税は廃止されていません。
3. 公式発表は存在しない
2026年5月7日時点で、高市政権から「自動車税を全面廃止する」という発表は一切ありません。
4. 投稿アカウントは凍結済み
この偽情報を拡散した一部のアカウントは、すでにSNS運営側によって凍結されています。投資勧誘や詐欺目的の可能性も指摘されています。
なぜ「嘘つき」批判が起きたのか?3つの要因
1. 期待と現実のギャップ
高市氏は総裁選時に「自動車関連税制の見直し」を公約として掲げていました。しかし:
- 公約:環境性能割の停止(購入時の税)
- フェイク情報:全ての自動車税を廃止
- 現実:環境性能割のみ廃止、毎年の自動車税は継続
多くの人が「全廃止」というフェイク情報を信じてしまったため、「公約と違う!」「嘘つきだ!」という誤解が広がりました。
2. フェイク情報の巧妙な手口
この偽情報が広まった理由
✅ 視覚的にリアル:本物のニュース番組のような画像
✅ 人々の願望に訴求:誰もが税負担の軽減を望んでいる
✅ 確認せずにシェア:「本当だったら嬉しい」という感情が先行
✅ 投資勧誘との組み合わせ:「関連株に追い風」という文言で拡散を加速
3. タイミングの悪さ
5月は自動車税の納付時期です。「廃止されたはずなのに納税通知が来た!」という怒りが、SNS炎上に直結しました。
あなたがデマに騙されないための5つのチェックポイント
今回のような偽情報に騙されないために、以下のポイントを押さえましょう。
✅ 1. 画像の出典を確認する
方法
- Googleレンズで画像検索
- 元の動画や記事を探す
- 公式メディアのサイトで確認
今回のケースでは、画像検索することで元動画(憲法改正に関するニュース)が判明しました。
✅ 2. 公式発表をチェック
確認すべき情報源
- 政府の公式ウェブサイト
- 首相官邸の記者会見
- 信頼できる報道機関の公式サイト
SNSの投稿だけを信じず、必ず一次情報を確認する習慣をつけましょう。
✅ 3. 「速報」や「拡散希望」に注意
感情を煽る言葉が使われている投稿は、フェイク情報の可能性が高いです。
警戒すべき表現
- 「速報!」「緊急!」
- 「拡散希望」「シェアして!」
- 「◯◯株に追い風!」(投資勧誘)
- 大げさな表現や感嘆符の多用
✅ 4. ファクトチェックサイトを活用
信頼できるファクトチェック機関
- 日本ファクトチェックセンター(JFC)
- 各大手メディアのファクトチェック記事
気になる情報を見つけたら、まずファクトチェックサイトで検証されていないか確認しましょう。
✅ 5. シェアする前に一呼吸
「本当だったら嬉しい」という情報ほど、冷静な確認が必要です。
シェア前のセルフチェック
- □ 出典は明記されているか?
- □ 公式発表と一致しているか?
- □ 他の信頼できるメディアも報じているか?
- □ 感情的に判断していないか?
自動車税の現状:実際に何が変わったのか?
正しい情報を理解するために、2026年4月の税制改正を整理しましょう。
廃止された税金
| 税金の種類 | 廃止前 | 2026年4月以降 |
|---|---|---|
| 環境性能割 | 車購入時に課税(0〜3%) | 廃止 |
効果: 新車・中古車購入時の初期コストが数万円程度軽減
継続している税金
| 税金の種類 | 納付時期 | 状況 |
|---|---|---|
| 自動車税種別割 | 毎年5月 | 継続 |
| 自動車重量税 | 車検時 | 継続 |
| ガソリン税 | 給油時 | 継続 |
つまり: 毎年5月に支払う自動車税は、これまで通り課税されます。
家計への実際の影響
- ✅ 購入時:環境性能割廃止で数万円の負担軽減
- ❌ 毎年の維持費:自動車税は変わらず(普通車で2.5万〜11万円程度)
「全廃止」ではなく「購入時の一部税のみ廃止」というのが正確な情報です。
SNSデマ拡散の心理メカニズム
なぜ人々はフェイク情報を簡単に信じ、拡散してしまうのでしょうか?
1. 確認バイアス
「見たい情報だけを信じる」という心理現象です。
- 「税金が安くなったら嬉しい」という願望
- 自分の期待に合う情報を無批判に受け入れる
2. 感情の優先
論理よりも感情が先に動きます。
- 喜び、怒り、不安などの感情を刺激する情報は拡散されやすい
- 冷静な判断よりも「シェアしたい」という衝動が勝つ
3. 社会的証明
「みんながシェアしているから正しいはず」という思い込み。
- 多くのリツイートやいいねがついている投稿は信頼されやすい
- 実際には検証されていない情報でも拡散される
事実に基づく批判と感情的な中傷の違い
今回の騒動では「嘘つき」という批判が溢れましたが、冷静に考えてみましょう。
❌ 事実に基づかない批判
- フェイク情報を信じて「嘘つき」と批判
- 実際には発言していない内容で政治家を攻撃
- 感情的な中傷や誹謗中傷
✅ 事実に基づく批判
- 公約と実際の政策を比較した上での評価
- 具体的な政策効果の検証
- 建設的な議論や提案
民主主義において重要なのは、正確な情報に基づいた理性的な議論です。 デマに踊らされず、事実を確認した上で判断することが、私たち一人ひとりに求められています。
まとめ:情報リテラシーが身を守る
この記事のポイント
- 「高市首相が自動車税廃止」は完全なフェイク情報
- 加工された偽ニュース画像が拡散
- 実際には憲法改正に関する映像を悪用
- 実際の税制改正は一部のみ
- 環境性能割(購入時の税)は廃止
- 毎年5月の自動車税は継続
- フェイク情報を見抜く5つのポイント
- 画像の出典確認
- 公式発表のチェック
- 感情を煽る表現に警戒
- ファクトチェックサイト活用
- シェア前の一呼吸
- 情報リテラシーの重要性
- 感情ではなく事実に基づく判断
- 一次情報の確認習慣
- デマ拡散に加担しない責任
あなたにできること
✅ 疑問を持つ習慣:「本当かな?」と立ち止まる
✅ 確認する習慣:公式サイトやファクトチェックを見る
✅ 慎重にシェアする習慣:拡散する前に検証する
デジタル時代において、情報リテラシーは自分自身を守るための必須スキルです。今回の騒動を教訓に、賢い情報との付き合い方を身につけていきましょう。
参考リンク
- 日本ファクトチェックセンター:高市首相が「自動車税の廃止」を正式決定?
- 国土交通省:令和8年度税制改正の大綱

