「どんな証拠を残しても後出しで捕まる」
そんな男性の不安を風刺したSNS投稿が波紋を広げている。
ユーザー「わきたむ」がXに投稿した一連のポストは、2023年施行の不同意性交等罪(改正刑法)を背景に、男性が合意の証拠を積み重ねても女性の「後出し主張」で逮捕される様子をコミカルに描いたもの。1万3,000以上のいいねを集め、続編には「監視官立ち会い」「公正証書バリエーション」など発展系も登場した。
風刺ポストの内容と反応
ポストでは、男性が合意書・録音・第三者証人を用意しても「途中で気が変わった」という後出し主張ひとつで覆されてしまう様子が描かれており、男性ユーザーからは「笑えない」「恋愛できない時代になった」「少子化の根本原因はこれ」といった深刻な共感の声が相次いだ。
一方、女性ユーザー側からは「途中で嫌になったら止めてもらえるのが前提という認識がそもそもおかしい」「同意は一度得れば永続するものではない」という指摘も上がり、双方の認識のズレが鮮明になった。
法律の現実
同意書だけでは無罪にならない
ここで重要なのは法律の実態だ。法務省は「同意書を取るだけでは罪に問われないとは言えない」と明言している。不同意性交等罪(刑法177条)は2023年7月13日に施行された改正法で、「同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態」での性交等を処罰する。つまり、事前に同意書を作成していても、その後の状況や行為の態様によっては犯罪が成立し得るのだ。
また弁護士らの解説によると「被害者の供述だけで起訴・有罪判決を得ることは現実的にほぼ不可能」であり、風刺ポストが示すような「言ったもん勝ち」の状況は法的には成立しにくい。ただし、それが「恋愛リスク」への不安を払拭するかどうかは別問題だ。
専門家の警告
過度な録音は逆効果のリスクも
専門家は過度な証拠収集行為への警鐘を鳴らしている。相手の同意なく性行為を録音・録画した場合、盗撮等処罰法(撮影罪)違反に問われるリスクがある。また心理の専門家は「録音機材を意識した関係はそれ自体が信頼関係を損なう」と指摘しており、法的自衛より「コミュニケーションと相互理解」が根本的な解決策だと強調する。
「まともな男性が恋愛市場から去る」という懸念
プレジデントオンラインなど複数のメディアも「不同意性交等罪への過度な不安により、リスク回避を優先する男性が恋愛・結婚を避ける傾向がある」と報じており、今回のバズはその不安の根深さを可視化したと言える。「少子化の原因」という声が出るほど、法改正が男女の関係性に与える心理的影響は軽視できない社会問題として浮かび上がっている。
法改正の本来の趣旨
不同意性交等罪の立法趣旨は、暴行・脅迫がなくても被害者が「同意できない状態」に置かれたケースを処罰できるよう改正したものだ。被害者が声を上げにくい実態や、「抵抗しなかった=同意」という誤認を是正する狙いがある。法律の本来の標的は悪意ある加害者であり、互いに誠実な関係を築こうとする人々を委縮させることではない。
📋 参照・引用元
- プレジデントオンライン「あまりのリスクにまともな男性は恋愛市場から去り問題男性が残る」https://president.jp/articles/-/79011(2024年3月1日)
- 法務省・内閣府「性犯罪の規定が2023年7月13日から変わります」https://www.gender.go.jp/kaigi/sonota/pdf/kyouka/06/04.pdf
- Wikipedia「不同意性交等罪」https://ja.wikipedia.org/wiki/不同意性交等罪
- 朝日新聞「同意のない性行為は犯罪をめざしたが 刑法改正後も根強い男性目線」https://www.asahi.com/articles/AST3F3CH8T3FDIFI00SM.html(2025年3月21日)
- 長岡法律事務所「不同意性交等罪は言ったもん勝ちなのか?」https://nagaoka-law.com/column/1048/

