これは対岸の火事じゃない——昨日、北海道で起きていること
2026年3月12日(木)、北海道放送(HBC)とTBS NEWS DIGが同時に報じたニュースを読んで、俺はぞっとした。
「北海道内で3月7日以降、住宅の車庫からガソリンが入った携行缶が盗まれる被害が相次いでいる」
北海道警察が注意喚起。
北斗市・七飯町を中心に複数件の窃盗事件が発生。手口は「住宅の車庫内に保管していたガソリン携行缶を丸ごと持ち去る」というもので、警察は同一犯の可能性もあるとして捜査を進めています。愛媛県では消防団員が公用ガソリンを28回・計1,180リットル(被害額約21万円)盗み続けていた事件も発覚しており、これはもはや全国規模の問題になっています。
なぜ今、こんなことが起きているのか。答えは単純明快です。ガソリンの価値が、泥棒が動くに足る水準まで上がったからです。
数字で見るガソリン高騰の「現在地」
現状を整理します。
3月9日時点のレギュラーガソリン全国平均小売価格は161.8円/L(前週比+3.3円)で4週連続の値上がり。そして3月12日からは石油元売り各社が卸値を一気に26円値上げ。専門家や各メディアは「平均180円超え、場合によっては200円突破も現実的」と予測しています(朝日新聞・FNN・レスポンス、いずれも2026年3月)。
この価格上昇の背景にある最大の要因は中東情勢の急激な緊迫化です。イランを巡る軍事的緊張が高まり、世界の石油輸送の約2割が通過するホルムズ海峡周辺のリスクが急上昇しました。さらに追い打ちをかけたのが、2025年12月末でのガソリン補助金(燃料油価格激変緩和補助金)の終了です。補助金によって抑えられていた価格の”底”が抜けた状態で、中東リスクが直撃した。
これが2026年3月の現実です。
自営業者にとって、ガソリンはコストの根幹です。仮に月400L給油するとして、150円→180円になれば月12,000円・年144,000円の追加コストになります。これは赤字転落の一線にもなりえます。
そんな状況で、泥棒に燃料を抜かれたり携行缶を丸ごと持ち去られたりしたら、
もう言葉もありません。
燃料泥棒の3つの手口と、それぞれの対策
手口①:給油口からの直接抜き取り(最多・最凶)
最も多い手口です。ホームセンターや通販で安価に入手できる電動ポンプを使い、数分でタンクの燃料を抜き取ります。ハイエースやプロボックスなど、仕事用の車は狙われやすく、特に出張先・現場・暗い駐車場に停めた夜間が危険な時間帯です。
有効な対策:鍵付きフューエルキャップへの交換
純正の給油口キャップを「鍵がないと外せない構造」のものに交換するだけで、抜き取りのリスクは劇的に下がります。ロック状態ではキャップを回しても空回りし続けるため、素人が短時間で解除することはほぼ不可能です。コストも数千円〜1万円程度で、工賃不要でDIY交換できる製品がほとんどです。
ハイエース・プロボックスに対応した製品が多く流通しており、仕事用の営業車・軽トラにも対応機種があります。「鍵をかけていない給油口」は、財布を机の上に置いて外出しているのと同じことです。
▶︎ ハイエース・プロボックス対応!給油口を物理的にガードする鍵付きフューエルキャップ(Amazon)
手口②:車庫・物置から携行缶ごと持ち去り(今最も急増中)
冒頭の北海道の事件がまさにこれです。「給油口からの抜き取りより手間がかからない」として急増しています。特に農家・建設業・除雪業など、大量の燃料を自宅や事業所に備蓄している職種が狙われやすい。
有効な対策:① 車庫・物置の施錠の徹底 ② 人感センサーライト+警報器の設置
北海道警察は「短時間でも確実に施錠」を呼びかけています。しかし施錠だけでは不十分で、接近者を早期に検知して威嚇する仕組みが必要です。マグネットで車体や金属フェンス・壁に取り付けられる車載用・屋外対応の人感センサーライトは、怪しい接近者に強烈な光を浴びせて心理的に撃退する効果があります。サイレン機能付きの製品なら、光と音の両方で威嚇でき、近隣への通報効果も期待できます。
出張が多い自営業者や夜間に現場を離れるケースが多い職種には、マグネット式で設置・撤去が工具不要な製品が特に有効です。現場ごとに持ち運べるため、固定式の防犯カメラが設置できない環境でも使えます。
▶︎ 怪しい接近者を光とサイレンで威嚇!マグネット式・車載用人感センサーライト(楽天)
手口③:ドライブレコーダーの死角を狙った「深夜の長時間作業」
これはプロの窃盗団が使う手口です。前方・後方カメラのみのドラレコの死角となる側面・給油口方向に回り込み、時間をかけて抜き取る。ドラレコは「証拠を残す」機能であり、「犯行を止める」機能ではありません。
有効な対策:多層防衛の組み合わせ
鍵付きキャップ+人感センサー+360度ドラレコ(または全方位防犯カメラ)の組み合わせが最強です。鍵付きキャップで「時間がかかる」状況を作り、人感センサーで「周囲に気づかれる」リスクを上げ、カメラで「証拠が残る」という三重の壁を作ることで、犯人は別のターゲットを探すようになります。防犯とは「完全に防ぐ」ことよりも「割に合わないと思わせる」ことです。
自営業者が今すぐやるべき「燃料防衛チェックリスト」
記事の内容を行動に落とし込めるよう、確認リストにまとめます。
- 給油口キャップは鍵付きに交換済みか
- 車庫・物置の鍵は、短時間の外出でも必ずかけているか
- 暗い駐車場・出張先での停車時に、人感センサーを設置しているか
- 携行缶は見えにくい場所に保管しているか(窃盗犯への視覚的誘惑を断つ)
- タクシーアプリのようにスマホを多用するため、モバイルバッテリーの常備はできているか
最後の項目は少し毛色が違いますが、防犯グッズを活用するためにはスマホが使える状態であることが前提です。防犯カメラのリアルタイム確認・タクシーアプリ・緊急通報。
これら全てがスマホ頼りになっている現代において、バッテリー切れは防犯上の致命的な弱点になります。
まとめ——「被害に遭ってから動く」では遅すぎる
ガソリン補助金は終わりました。中東情勢はまだ収束していません。180円・200円という価格が現実になりつつある今、燃料の価値は上がり続けています。それはすなわち、燃料が泥棒にとって「より魅力的なターゲット」になり続けているということです。
「自分の周りではそんな事件は聞かない」
そう思っていた北斗市の方も、七飯町の方も、今週被害に遭いました。北海道警察が注意喚起を出した翌日、あなたが読んでいるのがこの記事です。
自分の身と財産は、自分で守る。それが令和の自営業者としての、最低限のリテラシーだと俺は思っています。
参考情報:本記事は2026年3月13日時点の公開情報(TBS NEWS DIG・北海道放送・朝日新聞・ロイター・日本経済研究センター等)をもとに作成しています。価格・事件情報は随時更新される可能性があります。

