記事公開から約3か月。事態は当初想定していた「シナリオB〜C」の間ではなく、完全に「シナリオC」の領域へと足を踏み入れた。最新情勢を冷静に整理しておく。
ホルムズ海峡、依然として事実上封鎖が継続
ロイター速報(2026年5月25日)によれば、米・イスラエルによるイラン攻撃開始(2月28日)以降、イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖は3か月以上継続している。和平交渉は停滞し、海峡に足止めされた船員たちの孤立や物資不足も深刻化。CNN報道では、イラン革命防衛隊が「米国が封鎖解除するまで海峡封鎖を継続する」との声明を発表しており、収束の出口は見えていない。
5月26日にはイランが「米国の攻撃は重大な停戦違反」と非難。原油先物は再び100ドル接近水準まで急騰した。
原油・金価格、想定を超える水準で推移
WTI原油先物は中東情勢の緊張継続を受け、90ドル前後の高値圏で推移。一時的に和平合意観測で下落する局面もあるが、イラン産原油タンカー6隻が米国の封鎖により引き返しを余儀なくされる(ロイター2026年4月27日)など、需給はタイトなままだ。
金価格はさらに想定外。田中貴金属の店頭小売価格は2026年5月28日時点で過去3か月の最高値29,969円/グラムを記録。当初記事執筆時点の「2万円超」から約1.5倍へと急騰した。ゴールドマン・サックスの5,400ドル目標すら控えめに見える展開だ。
日本への実害が現実に|LNG船・サプライチェーンに目詰まり
3か月前は「リスク」として語られていたものが、いま「現実」に変わっている。
商船三井のLNG船が事実上封鎖後にホルムズ海峡通過し、千葉・富津港へ到着したのが封鎖後初のケース(日経報道)。日本船主協会によればペルシャ湾内に日本関係船舶が多数足止めされ、その約3分の2が原油タンカーまたはLNG運搬船だ。さらに食品包装・容器原料の供給目詰まりを受け、農水省が業界団体と初の情報交換会を開催する事態に発展している。
ガソリン価格は全国平均165円台へ
レギュラーガソリン全国平均は165.7円/リットル(gogo.gs調べ)まで上昇。北海道内の自営業者にとっては、出張ガソリン代の負担増が日々の収益を確実に削っている。燃油サーチャージの再引き上げも航空・物流で常態化した。
燃費改善グッズ(Amazon)や車載用ガソリン携行缶(楽天)など、日々の燃料コスト対策も現実的な備えとして検討したい。
当初提示した「資産防衛5選」を3か月後に振り返る
率直に検証する。
金積立を始めた人はこの3か月で評価額が大幅プラスになったはずだ。原油ETF(1699)も短期で動いた人は利益を出せた。ENEOSや三菱商事といったエネルギー・商社株もしっかり上昇している。「守り」のつもりで仕込んだ資産が、結果として攻めの収益を生んだ形だ。
一方で、これから新規参入する人への注意は変わらない。「すでに動いた相場を高値づかみする」のが最も危険だ。金が3万円目前の今、フルポジションで突っ込むのは推奨できない。少額・分割・長期で淡々と積み立てるスタンスは3か月前と同じだ。
結論|「守り」のフェーズから「持久戦」のフェーズへ
3か月前、筆者は「投資で取り返す前に、仕事でしっかり稼ぐ」と書いた。この姿勢は今も変わらない。
ただ局面は変わった。短期で収束する有事ではなく、長期化を前提とした持久戦になっている。資材費の変動条項を契約に入れる、燃料費の上昇を見積もりに織り込む、現預金の一部をドルや金に分散する──こうした地味な備えを、いま改めて確認し直す価値がある。
戦闘が始まって3か月、海峡は閉じられたままだ。出口の見えない時こそ、足元を固める者だけが立っていられる。

