大きな地震が起きると、「これで南海トラフ地震はしばらく来ないのでは?」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、大きな地震が起きたことだけで、南海トラフ地震の危険がなくなったとは判断できません。
地震の発生場所・規模・断層の動きはそれぞれ異なり、南海トラフとの関係は専門的な観測と評価が必要です。
結論
大きな地震の後こそ、うわさに振り回されず、公式情報を確認しながら「いつもの備え」を見直すことが大切です。
なぜ「大きな地震=南海トラフは来ない」ではないの?
南海トラフ地震は、駿河湾から日向灘沖にかけてのプレート境界で起きると想定されている巨大地震です。
一口に「大きな地震」といっても、次の違いがあります。
- 震源が南海トラフの想定震源域にあるか
- プレート境界で起きた地震か
- 断層がどの範囲まで動いたのか
- 津波や地殻変動にどのような影響が出ているか
つまり、規模だけで「安心」「危険」と決めつけることはできません。
気象庁は、現在の科学では南海トラフ地震について、発生する日時・場所・規模を高い精度で予測することはできないと説明しています。一方で、異常な現象が確認された場合には、平常時より可能性が相対的に高まったとして情報を発表します。
気象庁:南海トラフ地震に関連する情報
南海トラフ地震の可能性は「高い」と評価されている
地震調査委員会は、南海トラフ地震の発生確率を最も高い区分である「IIIランク(高い)」に位置づけています。
計算手法によって幅はありますが、防災上の目安として、今後30年以内の発生確率は60〜90%程度以上と示されています。別の計算方法では20〜50%とされていますが、いずれの評価でも「高い」という位置づけは変わりません。
大切なのは、確率の数字に一喜一憂するのではなく、住んでいる地域の揺れ・津波・土砂災害リスクを知ることです。
「南海トラフ地震臨時情報」が出たら、何をすればいい?
大きな地震の後、南海トラフ地震との関連を調べる必要があると判断された場合、気象庁は「南海トラフ地震臨時情報」を発表します。
情報ごとの基本的な行動
| 情報 | 目安となる行動 |
|---|---|
| 調査中 | 今後の公式発表を確認し、避難経路・持ち出し品を確認する |
| 巨大地震注意 | 日頃の備えを再確認。すぐ逃げられる態勢を整える |
| 巨大地震警戒 | 対象地域では自治体の案内に従い、事前避難などを検討する |
| 調査終了 | 通常の生活へ。ただし地震リスクそのものがなくなるわけではない |
「巨大地震注意」は、1週間以内に必ず巨大地震が起きるという意味ではありません。
ただし、平常時より可能性が高まっているため、家具固定・備蓄・避難経路の確認などを行う期間です。
気象庁によると、Mw7.0以上の地震後7日以内にMw8クラス以上の後発地震が起きる頻度は、世界の事例では概ね100回に1回程度とされています。可能性は高くはないものの、平常時より相対的に高まるため、備えを確認する意義があります。
気象庁:臨時情報の発表条件と留意点
大きな地震の後に、家族で確認したい5項目
1. 自宅の危険度を確認する
自治体のハザードマップで、次を確認しましょう。
- 想定される震度
- 津波浸水想定区域
- 避難場所・津波避難ビル
- 土砂災害警戒区域
- 家から避難場所までの経路
特に沿岸部では、揺れを感じたら情報を待ちすぎず、より高く、より遠い安全な場所へ避難する判断が重要です。
2. 家具を固定する
地震でのけがは、家具の転倒・落下・移動が原因になることがあります。
- 背の高い家具を固定する
- 寝室に倒れやすい家具を置かない
- 出入口や避難動線をふさがない
- ガラス飛散防止フィルムを検討する
3. 水・食料・衛生用品を「日常備蓄」する
一度に大量購入するのではなく、普段使うものを少し多めに持ち、使った分を補充する「ローリングストック」が続けやすい方法です。
- 飲料水
- レトルト食品・缶詰
- モバイルバッテリー
- 簡易トイレ
- 常備薬・乳幼児用品・ペット用品
防災リュックは、家族構成や地域の避難リスクに合わせて選ぶことがポイントです。
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4. 家族との連絡方法を決める
災害時は、電話がつながりにくくなる場合があります。
- 集合場所を決める
- 遠方の親族を連絡中継先にする
- 災害用伝言ダイヤル「171」を確認する
- 安否確認サービスの使い方を共有する
5. 正しい情報源をブックマークする
災害時のSNSは、速報性がある一方で、古い投稿や根拠のない情報も混ざります。
確認先は、次のような一次情報を優先してください。
SNSではどんな声が広がった? 不安と備え直しが同時に拡大
2024年8月に初めて「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が出た際には、SNS上で不安の声とともに、備蓄・避難場所・旅行予定について確認する投稿が多く見られました。
一方で、「1週間以内に必ず巨大地震が起きる」と受け取れるような誤解や、根拠のない予言・画像も拡散されました。
関西大学の調査では、臨時情報の発表直後は情報の認知が高まった一方、時間の経過とともに内容への理解が薄れ、「短期間で巨大地震が起きる可能性」を過大に受け止める人が増える傾向も示されています。
関西大学:南海トラフ地震臨時情報への受け止めに関する研究紹介
SNSを見るときのポイント
「いつ・どこで・誰が発表した情報か」を確認し、避難や買い占めの判断は、自治体・気象庁の発表を基準にしましょう。
よくある質問
Q. 大きな地震が来たら、南海トラフ地震は起きない?
いいえ。一概には言えません。
大きな地震の震源・仕組み・断層の動きによって意味が異なるため、規模だけで判断することはできません。
Q. 「巨大地震注意」が出たら、すぐ避難しなければいけない?
原則として、すべての人が一斉避難する情報ではありません。
ただし、津波からの避難が間に合わないおそれがある地域などでは、自治体から具体的な行動が呼びかけられる場合があります。必ずお住まいの自治体の案内を確認してください。
Q. 何日分の備蓄が必要?
家族構成や住環境で異なりますが、まずは最低3日分、できれば1週間分程度を目安に、日常備蓄を始める方法が現実的です。薬・衛生用品・ペット用品など、各家庭に必要なものも忘れずに準備しましょう。
まとめ|不安を増やすより、今日できる準備を一つ
大きな地震が起きた後に必要なのは、憶測で「もう大丈夫」「すぐに来る」と決めつけることではありません。
南海トラフ地震への備えは、特別なときだけではなく、日常の中で少しずつ続けることが重要です。
今日できることは、次の3つです。
- 自宅周辺のハザードマップを見る
- 家具の固定と避難経路を確認する
- 水・食料・簡易トイレを少し多めに備える
まずは家族と「地震が起きたらどこへ逃げるか」を話すところから始めてみてください。
参考情報
- 気象庁|南海トラフ地震に関連する情報
- 気象庁|南海トラフ地震臨時情報が発表されたときの防災対応
- 地震調査研究推進本部|南海トラフの地震活動の長期評価
- 内閣府|南海トラフ地震防災対策
- NHK|南海トラフ地震臨時情報、初の発表から1年
最終更新日:2026年7月28日

