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【歴史的判決】成年後見で警備員クビは「違憲」──最高裁、戦後14例目の Unconstitutional

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■ 最高裁が動いた

2026年2月18日、最高裁大法廷(裁判長・今崎幸彦長官)が歴史的な判決を下した。

成年後見制度を利用した人が警備員として働けなくなる旧警備業法の「欠格条項」は、憲法違反である。

裁判官15人中10人の多数意見。戦後14例目の違憲判決だ。前回は2024年7月の旧優生保護法違憲判決。最高裁が「憲法の番人」として法令にNOを突きつけることは、極めて稀なことだ。

■ 事件の経緯──ある30代男性の話

原告は岐阜県在住の30代男性。軽度の知的障害がある。

警備員として働いていたが、日常生活のサポートを受けるため成年後見制度の「保佐人」をつけた

すると──。

2017年3月、当時の警備業法の「欠格条項」に該当するとして退職を強いられた。

成年後見制度を”使っただけ”で、仕事を奪われた。「おかしい」と感じた男性は2018年、国に100万円の損害賠償を求めて提訴。1審の岐阜地裁は10万円、2審の名古屋高裁は50万円の賠償を認め、いずれも欠格条項を「違憲」と判断していた。

■ 最高裁の判断──何が違憲か

最高裁大法廷は、旧警備業法の欠格条項についてこう述べた。

「必要な能力を備えた者が一律に警備業務から排除される不利益は、看過し難いものとなっていた」

つまり、「成年後見を使っている」という事実だけで、個人の能力を見ずに一律に排除するのは、憲法22条(職業選択の自由)に違反する──という判断だ。

「障害がある=仕事ができない」ではない。

個人の能力を見ずにレッテルで排除する仕組みそのものが、憲法に反する。明快なロジックだ。

■ 国の賠償は認めず──原告は救われたのか?

ここが複雑なポイントだ。

最高裁は欠格条項を「違憲」としたが、国への賠償命令は破棄し、原告側の請求を棄却した。裁判官15人のうち5人は「国に賠償すべき」と反対意見を述べたが、多数意見は賠償を認めなかった。

判決後の会見で原告男性はこう語った。

「憲法違反と認められたのでうれしかった」 「ちょっとうれしい。国会には早く改善してほしい」

「ちょっとうれしい」──この控えめな言葉の裏に、どれほどの葛藤があったか。違憲は勝ち取った。しかしお金は戻らない。仕事も戻らない。複雑な勝利だ。

弁護団は「判決は個人を尊重する後押しになる」と評価しつつも、賠償が認められなかった点には遺憾の意を示した。

■ 180以上の法律にあった「欠格条項」の闇

そもそも「欠格条項」とは何か。

成年後見制度を利用しているというだけで、特定の職業に就けなくなる法律上の規定だ。

かつては180以上の法律に存在した。

警備業法だけでなく、国家公務員法、弁護士法、医師法、税理士法──驚くほど広範囲にわたっていた。

「助けを借りたい」と制度を使った瞬間に、「あなたはもう働けません」と突きつけられる。

支援を求めること自体が不利益になるという、本末転倒な構造だ。

政府はこの問題を受け、2019年(令和元年)にこれらの欠格条項を一括削除した。

今回の裁判で争われたのは、削除される前の「旧法」の規定が違憲だったかどうか、という点だ。

■ 戦後14例目の重み

最高裁が法令を「違憲」と判断した例は、戦後わずか14件しかない。

代表的なものを並べると
尊属殺重罰規定(1973年)、
衆議院議員定数不均衡(1976年、1985年)、
婚外子の国籍取得制限(2008年)、
婚外子の相続差別(2013年)、
再婚禁止期間(2015年)、
旧優生保護法(2024年)──そして今回の旧警備業法(2026年)。

「憲法の番人」が動く14回目。 

それほどまでに、今回の欠格条項は「放置できない差別」だったということだ。

■ 今後どうなる?──法改正の行方

欠格条項自体は2019年に削除済み。だが、今回の違憲判決が持つ意味は2つある。

① 「制度を使ったら不利益」という構造への警告 成年後見制度は現在、法改正に向けた見直しが進行中。法制審議会では「後見・保佐・補助」の3類型を「補助人」に一本化する要綱案がまとまりつつある。今回の判決は、制度の利用が不利益につながらない仕組みづくりを加速させるはずだ。

② 同様の差別的規定への波及 180以上の法律から欠格条項は削除されたが、運用レベルでの「見えない壁」が残っている可能性はある。採用や契約の場面で「成年後見を使っている」ことを理由にした不利益扱いが、今後は明確に憲法違反の根拠をもって争えるようになった。

■ まとめ── Dignity is Not Negotiable

ポイント内容
判決日2026年2月18日
裁判所最高裁大法廷(裁判長・今崎幸彦長官)
判断旧警備業法の欠格条項は違憲
多数意見裁判官15人中10人
国の賠償認めず(5人が反対意見)
歴史的位置戦後14例目の違憲判決
原告コメント「憲法違反と認められたのでうれしかった」

「助けを求めたら、仕事を奪われた」──この不条理に、最高裁がNOと言った。

賠償は認められなかった。でも「違憲」という言葉は、この先何十年も残る。同じような壁にぶつかる人が出たとき、この判決が盾になる。

障害があっても、できることはある。

支援を受けることは、権利を失うことではない。

Dignity is not negotiable.──尊厳に、交渉の余地はない。


参考ソース

成年後見制度の欠格条項を違憲とした最高裁判決を表すイラスト